「まず求人を一つ見てみる」
と言われても、実際に転職サイトを開くと、今度は別の問題が出てきます。
求人が多すぎる。
会社名を見てもよく分からない。
給料が高い会社もあれば、休みが多い会社もある。
仕事内容も似たような言葉が並んでいて、
「で、何を見ればいいんだろう」
となる。
何件か眺めて、そのまま閉じてしまうこともあると思います。
でも、まだ転職を決めていないなら、最初から「応募したい会社」を探さなくてもいいです。
求人を見る目的は、会社を選ぶことだけではありません。
今の会社を比べる相手を作る。
それくらいからでも使えます。
まず、一つだけ比べてみる
前の記事では、求人を見るときの基準を一つ持っておく話をしました。
実際に求人を開いたら、最初から全部を比べなくても大丈夫です。
たとえば、今一番気になっているのが給料なら、まず給料。
休みなら、年間休日。
毎日帰るのが遅いなら、就業時間や残業。
通勤がしんどいなら、勤務地。
そんなふうに一つだけ見ていきます。
「いい会社を探す」
と考えると難しくても、
「今の会社と、この条件だけ比べてみる」
なら少し見やすくなります。
そこから気になる求人が出てきたら、ほかの条件も見ていけばいい。
まずは給料から見てみます。
給料は「月給○万円」だけで見ない
求人を見ると、やっぱり最初に給料が目に入ります。
今が月給25万円で、
「月給30万円」
と書かれていれば、かなり良く見える。
けど、数字一つだけでは比べにくいこともあります。
基本給はいくらなのか。
どんな手当が含まれているのか。
固定残業代は入っているのか。
賞与や昇給について何が書かれているのか。
このあたりまで見ると、同じ「月給30万円」でも中身が違うことがあります。
ハローワークの求人情報でも、賃金は基本給、定額的に支払われる手当、固定残業代などに分けて表示されます。
また、表示される賃金は税金や社会保険料が引かれる前の金額です。
昇給や賞与についても、書かれている実績がそのまま将来の待遇を保証するわけではありません。
だから、
「今より5万円高い」
だけで決めなくていい。
まだ応募するわけではないので、
「自分と同じような仕事って、他の会社ではこのくらいで募集されているんだ」
くらいの見方でも十分です。
今の給料しか知らなかったなら、それだけでも比較するものが一つ増えます。
「いくらもらえるか」と一緒に、「何時間使うか」も見る
給料と一緒に見ておきたいのが、時間です。
たとえば給料が今より少し高くても、
帰宅が毎日1時間遅くなる。
休日が減る。
通勤が長くなる。
となれば、自分にとって本当に条件が良くなったのかは分かりません。
逆に、年収がほとんど変わらなくても、
残業が減る。
休みが増える。
通勤が短くなる。
なら、そちらの方がいいと思う人もいます。
ここは人によって違います。
だから求人を見るときも、
「給料はいくら?」
だけではなく、
「ここで働いたら、平日はどんな一日になるんだろう」
と少し考えてみます。
朝は何時に家を出るのか。
何時ごろ帰れそうなのか。
土日は休めるのか。
年間でどれくらい休めるのか。
勤務地はどこなのか。
月給だけ見ていたときには気づかなかった違いが出てくることがあります。
職種名より「実際に何をするのか」を見る
仕事内容も、求人を見始めると分かりにくいところです。
「営業」
「事務」
「企画」
と書いてあっても、会社によって中身は違います。
たとえば同じ営業でも、
新しい顧客を探すのか。
すでに取引のある顧客を回るのか。
電話が多いのか。
外回りが多いのか。
何を売るのか。
どんな相手と話すのか。
ここが違えば、毎日の働き方も変わります。
ハローワークも「仕事内容」を求人の重要な項目の一つとして、具体的に仕事をイメージすることが大切だと案内しています。
2024年4月以降は、将来の配置転換などを含めた「業務の変更の範囲」や「就業場所の変更の範囲」についても、求人票で明示する項目に追加されています。
なので、
「営業だから今と同じ」
「事務なら楽そう」
と職種名だけで考えず、
「毎日、実際には何をする仕事なんだろう」
まで一度読んでみる。
それでもよく分からなければ、今は「よく分からない求人」として置いておけばいいと思います。
全部理解してから次の求人を見る必要はありません。
「良い求人か」より「自分はどこに反応したか」を見る
何件か求人を見ていると、自分でも意外なところで手が止まることがあります。
給料が高い会社より、
「年間休日125日」
が気になる。
在宅勤務という文字に目が行く。
仕事内容より、
「転勤なし」
を見て少し安心する。
逆に、年収は高いのに、
「固定残業○時間」
を見た途端、あまり魅力を感じなくなる。
こういう反応には、自分が仕事で何を気にしているのかが出ます。
「給料が一番不満だと思っていたけど、休みもかなり気にしているな」
と気づくかもしれない。
「仕事が嫌なんじゃなくて、毎日の通勤が嫌だったのかもしれない」
と思うかもしれない。
まだ応募するつもりがないなら、
求人を評価するというより、自分がどこで引っかかったかを見る。
そんな読み方でもいいと思います。
今の会社の良さが見えることもある
外の求人を見れば、必ず転職したくなるわけではありません。
むしろ逆もあります。
「給料が低いと思っていたけど、同じような仕事ならそこまで差がないな」
「年間休日は意外と今の会社の方が多い」
「在宅勤務できることって、自分が思っていたより大きかったかも」
と気づくこともある。
求人票だけでは比べにくいものもあります。
たとえば人間関係。
今の会社なら、
誰と働くのか。
どのくらい休みを取りやすいのか。
忙しい時期はいつなのか。
困ったときに誰に聞けばいいのか。
もう分かっています。
それも今の会社に残る理由の一つかもしれません。
外を見ると、今の会社の嫌なところだけではなく、
「これはなくなると困るかも」
というものも見えやすくなります。
それなら、
「今は転職しない」
という判断になっても構いません。
求人を見るのは、転職する理由を探すためだけではないからです。
求人票だけで全部分かるわけではない
ここは少し注意しておきたいところです。
求人票を読めば、給料や休日、仕事内容などいろいろな情報を確認できます。
でも、それだけで入社後のすべてが分かるわけではありません。
ハローワークも、求人情報や求人票は雇用契約書ではなく、採用時には改めて労働条件の明示を受けるよう案内しています。
だから今は、
「求人票に書いてあるから、絶対こうなんだ」
と決めつけなくていい。
反対に、
「ここはちょっと気になるけど、まだよく分からない」
というところがあっても構いません。
本当に応募したくなったら、そのとき確認することもできます。
今はまだ、選択肢を見る段階です。
今日見るなら、一つだけ条件を決めてみる
求人をちゃんと研究しようとすると、それだけで疲れます。
なので、最初は一つでいいと思います。
たとえば、
「求人票を見る限り、今より給与条件が下がらなそうな求人」
だけを見る。
あるいは、
「年間休日120日以上」
だけ。
「今より通勤時間が短くなりそうな場所」
でもいい。
その条件で数件見てみる。
そして、
「これはちょっといい」
「これは嫌だな」
と思ったところだけ覚えておく。
そうしていると、
自分が今の仕事の何に不満を持っていて、
逆に何は失いたくないのかが少しずつ見えてきます。
転職するかどうかは、そのあとでいい。
求人を見ることは、会社を選ぶ作業だけではありません。
自分が次の働き方に何を求めているのかを知るためにも使えます。
そして、求人を見る方法も一つではありません。
自分で探す転職サイト。
登録して企業などから声がかかるスカウト型サービス。
担当者と相談しながら求人を探す転職エージェント。
それぞれ、使い方も距離感も少し違います。