朝、会社に着いてパソコンを開く。
メールを確認して、今日やることを見る。
まだ上司は来ていない。
別に、来ないでほしいと思っているわけではない。
それでも、少しだけ気が楽だったりする。
しばらくして、
「おはようございます」
と後ろから声がする。
「おはようございます」
と返す。
何か言われたわけではありません。
けど、さっきまでより少しだけ肩に力が入る。
そんな日がある。
職場の人間関係に疲れている。
そう言ってしまえば分かりやすいのかもしれません。
でも、自分ではそこまで大げさな話ではない気もする。
上司が嫌いなのかと聞かれると、よく分からない。
怒鳴られるわけではない。 無視されるわけでもない。
普通に話す日もあるし、仕事を教えてもらうこともある。
だから、
「自分が気にしすぎているだけなのかな」
と思って、そのまま仕事を続ける。
でも、何もなかった日のはずなのに少し疲れる。
仕事そのものより、その人に話しかけることの方が気になっている。
そういう疲れは、原因がはっきりしません。
「人間関係がつらい」と言うほどではない
上司と合わない。
職場の人間関係がつらい。
仕事を辞めたい。
そこまで強い言葉を使うと、少し違う気がすることがあります。
会社で、
「最近どう?」
「何か困ってることある?」
と聞かれても、すぐには出てこない。
仕事量が多すぎるわけではない。
誰かから明らかな嫌がらせを受けているわけでもない。
ただ、報告するときは少し反応が気になる。
機嫌が悪そうな日は、できれば話しかけたくない。
でも、それを「困っていること」として説明しようとすると急に小さく見える。
結局、
「特にないです」
で終わることもある。
仕事をしていれば、自分と合わない人がいることはあります。
言い方が少し苦手な人もいるし、仕事の進め方が違う人もいる。
だから、一度嫌なことがあっただけで職場全体の問題にする必要はありません。
ただ、
口に出すほどではないことと、自分が疲れていないことは同じではありません。
「あの人に報告するの、ちょっと嫌だな」
その程度のことでも、毎日続けば仕事の感じ方に少しずつ混ざってきます。
仕事より、「どう話しかけるか」に疲れていることがある
分からないことが一つ出てくる。
上司に確認すれば、すぐ終わることかもしれません。
でも、すぐには聞かない。
忙しそうだから、少し自分で調べる。
それでも分からない。
しばらくして、ようやく声をかける。
「すみません、これってどうすればいいですか?」
「これ、前にも説明しなかったっけ?」
「あ……すみません。確認してみます」
怒鳴られたわけではありません。
相手からすれば、深い意味もなかったのかもしれない。
でも次に分からないことが出てきたとき、前より少し聞きづらくなる。
「こんなこと聞いて大丈夫かな」
と考えてから話しかける。
反対に、自分で考えてから聞こうとしていると、「もっと早く聞いて」と言われることもある。
そうしているうちに、仕事で分からないことより、
いつ聞くか。
どう聞くか。
どこまで自分で調べてから聞くか。
そんなことに頭を使うようになる。
仕事そのものが難しくて疲れているわけではない。
仕事を進めるたびに、その人がどう反応するかまで考えている。
そこに疲れていることがあります。
その人がいない日だけ、仕事が少し楽になる
別の日。
その日は上司が休みだった。
仕事量はいつもと変わらない。
締め切りもある。
楽な一日というわけではない。
でも、質問するときに、いつものようにタイミングを考えていないことに気づく。
夕方になって、
「今日、なんか少し楽だったな」
と思う。
そこで初めて、
「自分、仕事そのものが嫌なわけじゃないのかも」
と気づくことがあります。
一日だけでは分かりません。
たまたま仕事がうまく進んだだけかもしれない。
でも、その人がいる日といない日で、何度も同じような違いを感じるなら、仕事への不満と人間関係への疲れは少し分けて考えられます。
「会社に行きたくない」と思うときも、
会社そのものが嫌なのか。
仕事が嫌なのか。
特定の人と一日過ごすことを考えると気が重いのか。
同じように見えて、中身は違います。
上司と合わないことと、会社を辞めたいことは同じではない
ここで一つだけ想像してみます。
もし、その上司が来月別の部署へ異動するとしたら。
それでも、この会社を辞めたいでしょうか。
その人がいなくなっても、
給料や仕事内容、働く時間への不満が残るなら、人間関係以外にも引っかかっているものがありそうです。
反対に、
「それなら、もう少しここで働いてもいいかも」
と思うなら、会社そのものより、その人との関わりに疲れているのかもしれません。
もちろん、実際に上司が異動するとは限りません。
自分が部署を変えられるとも限りません。
ただ、こう考えてみると、
会社を変えたいのか。
仕事内容を変えたいのか。
その人と距離を取りたいのか。
「仕事が嫌」という一つの言葉に混ざっていたものが、少し分けやすくなります。
「どこに行っても合わない人はいる」と思うと動けなくなる
人間関係について考えると、
「でも、どこの会社に行っても合わない人くらいいるよな」
と思うこともあります。
たしかに、転職したからといって、次の職場で全員と気が合うとは限りません。
考え方が違う人もいる。
仕事の進め方が合わない人もいる。
また似たようなことで疲れる可能性もあります。
けど、それで今感じている疲れまで分からないままにする必要はありません。
たとえば、
質問しづらいことがしんどいのか。
細かく反応を気にする関係に疲れているのか。
相手の機嫌によって話しかけ方を変えることが負担なのか。
「人間関係が嫌」だけでは分からなかったことも、少し細かくすると見えてきます。
それが分かれば、今の会社でできることを考える材料にもなります。
異動や担当変更ができそうなのか。
少し距離を取れそうなのか。
相談できる人がいるのか。
もし別の会社を見ることになったとしても、
「人間関係が絶対にいい会社」を探すことは難しい。
でも、自分はどんな関係で消耗しやすいのかを知っていれば、働き方を見る基準は一つ増えます。
口に出すほどではなくても、毎日の仕事を考える材料にはなる
毎日怒鳴られているわけではない。
仕事に行けないほどでもない。
それでも、その人と話す前だけ身構え、その人がいない日は仕事が楽に感じる。
その差は、今の疲れを考える材料になります。
上司が悪いと決めなくてもいい。
自分が気にしすぎていると決めなくてもいい。
仕事そのものに疲れているのか。
その人との関係に疲れているのか。
その人がいなくても、今の会社へのモヤモヤは残るのか。
最後に確かめたいのは、そこです。